
業務効率化と人材の育成。
両者の課題を解決した独自のDX化で、
ものづくり業界の未来を切り拓く。
株式会社Creative Works 代表取締役 宮本 卓
株式会社Creative Worksは、2012年に個人事業としてスタートした「ものづくり企業」。「ものをつくり ひとをつくり みらいをつくる」を理念に掲げ、室内遊具や公園遊具、理化学用品など多様な製品の溶接、金属加工、設計・組立などを行なっている。同社では、DXを積極的に導入し、その取り組みはメディアで幾度も取り上げられている。導入経緯や効果、将来のビジョンなどについて宮本卓社長に話をうかがった。
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株式会社Creative Works
代表取締役 宮本 卓 氏
(宮本溶接塾 塾長) -


業種別DXのポイント
- 「コンテキサー」を導入し、受発注・出荷をデジタルで管理
- 納品書や請求書の作成、給与計算には「マネーフォワード」を活用
- モーションキャプチャーを活用した訓練システムで溶接職人を育成
先輩社長らとの勉強会がDX化を後押し、
新しい形をゼロから創り上げる。
宮本氏がDXの導入を検討したのは、2012年にCreative Worksを立ち上げたことがきっかけだった。もともと実家の工業所で溶接の修行をしながら、病院の手術台などの製造に携わっていたが、時代の流れとともに事業は衰退。先代の社長であったお父様から事業を継承することになった宮本氏は、独自のものづくりを発信する場として同社を新たに立ち上げる。そして、江戸川区と足立区でものづくりを実践する「ものづくりのワ」の勉強会に参加、製造業の現場が抱える課題や業務効率化のための施策などについて学んだ。ここでの経験がDX化の後押しになった。
「他社の事例などを勉強していく中で、システム一つでこんなことができるんだということを知って驚きました。ちょうどCreative Worksをゼロから立ち上げるタイミングだったので、既存のシステムを変えるのではなく、新しい形をゼロからつくっていくイメージでDX化を進めることにしました。「ものづくりのワ」で各企業が取り組んでいた“いいところ”を取り入れていこうと。私だけだったら、おそらく不可能だったと思います」。

現在、宮本氏は事務局長を務める。
独自の業務アプリ構築ツールで、
受発注と出荷業務を効率化
宮本氏はまず、受発注を管理するシステムとして「コンテキサー」を導入し、当たり前だったFAXでのやり取りを廃止した。「コンテキサー」とは、法政大学の西岡靖之教授の指導のもと開発された独自の業務アプリ構築ツールで、ノーコード(プログラミング不要)という特性を活かし、受注、調達、製造、出荷までの流れを一元的に管理する生産管理システムだ。受注した内容をパソコンに打ち込んでおけば、職人といつでも共有できるので、それを元に生産計画を立てることができる。作業に必要な図面もPDF化してクラウドに保存するため、離れた現場でも図面を見ながら作業ができる。その内容はタブレットで外出先からでも確認できるので、職人にも迅速に指示ができる。「自分たちでカスタマイズできるところがいいですね」と宮本氏は語る。
「コンテキサーはいろんなことができますが、当社では受発注と出荷で主に活用しています。どんなに素晴らしいシステムでも、すべてをそのまま入れるのではなく、自分たちはどこに導入すると一番ラクになるのかを考えることがポイントだと思います。江戸川区からの補助金を活用して導入しましたが安い方じゃないですかね。納品書や請求書の作成、給与計算等の経理システムは「マネーフォワード」を導入し、活用しています」。
溶接の動きをデータ化するシステムを導入。
溶接塾を開講し、未来の溶接職人を育成。
宮本氏が製造業とともに事業の柱としたのが、後進の育成である。職人になりたいという若者は年々減り続けており、将来を担う人材の育成は急務だった。職業訓練校で講師の経験もあった宮本氏は、「宮本溶接塾」を開講する。溶接はミリ単位の繊細な技術が求められるため、その正しいやり方を言葉で正確に伝えることが難しい。しかし、この溶接塾ではトーチ(溶接に使われる道具)や身体の動きが数値化されるため、受講者に説得力のあるわかりやすい指導ができる。受講者も自分の作業や動作を客観的に振り返ることができるため、技術を習熟するスピードが飛躍的に向上する。宮本氏の試算では「本来必要とされる習熟期間の1/3程度まで短縮できる」という。
「このシステムの導入予算は、産業技術研究センターの公募型共同研究という形で全額まかないました。受講者のバックグラウンドが全然違うので、教え方を確立するまでは時間がかかりましたが、どこのデータを取れば成果が出るのかは経験からわかっていたので自信はありました。最初は講師が自分一人だったので大変でしたが、職人をスカウトして講師を増やしたことでようやく軌道に乗ってきました。現場で活躍したベテランの職人が新たに講師としてスキルアップできれば、培った知見を研究開発に生かしてもらうこともできる。職人のキャリアプランとしても最善だと考えています」。

必要なところに必要なデジタルを。
これらのシステムを導入したことで、業務の効率化と人材の育成環境を整備した宮本氏。外部協力でSNS担当のスタッフを配置して発信力を強化したことで新規の依頼も増加、事業を拡大している。今年で9期(7年目)を迎える溶接塾は、法人向けと個人向けに指導を行なっており、溶接職人として活躍している卒業生もいる。2025年には足立区内に新たな溶接塾を開業する予定だ。
「どのようなデジタルデータを取ったら役立つかという観点がわかってきたので、次は現場です。例えば、製造工程をちゃんとデータで記録できるとしたら、それを再現できるように現場を整えていかなきゃいけない。今度の課題は、先代たちから譲り受けた機械類をメンテナンスしたり、新しいものに更新したりして精度が高い加工ができるようにアップデートしていくことです。必要なところに必要なデジタルを導入する。そして、それを活かす現場作りと使いこなす人材を育成する。この両輪がDXの本質だと思うんです」。
宇宙にも造詣の深い宮本氏の革新的な取り組みは、製造業の未来に新しい風を吹かせている。


アドバイス
ほとんどの方がスマホ動画を撮ったり、ビデオ通話を使っていると思いますが、製造現場でのDXもそれぐらい気軽に使えるものから使ってみるのがよいのではないかと思うんです。連絡手段をLINEにしてみるとか、そのぐらいのことからまず試してみるのがいいのかなと。デジタルツールを導入することを目的にするのではなく、会社の業務がラクになるようなものを試してみてください。外部の勉強会などにも足を運んで他社の事例を見ることも大事だと思います。
企業情報 | |
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企業名 | 株式会社Creative Works |
本社 | 東京都江戸川区西一之江4-3-5 |
代表者 | 代表取締役 宮本 卓 (宮本溶接塾 塾長) |
設立 | 2012年8月 |
従業員数 | 2名 |
URL |
・HP:https://creativeworks.tokyo/ ・Facebook:https://www.facebook.com/creativeworkstokyo/ |