導入企業インタビュー

アクセス数は約5倍!
売れるホームページ〜実現までの道のり〜

合同会社FUKUFUKU-YA 代表 深津チヅ子

「いくつになってもファッションを楽しみたい」というのは女性なら誰しもが持つ永遠の願いだろう。にもかかわらず、年齢が高くなるほど洋服選びは難しくなっている。そんな高齢女性の悩みに、着心地のいい彩り豊かな洋服でこたえているのが、合同会社FUKUFUKU-YAである。80代以降の女性に特化した独自のファッションブランドとして数々のメディアに取り上げられている。しかし、その成功の裏には、開業以来、4年間で3度にわたるホームページの改修という苦労があった。どのような経緯で成功を掴み取ったのか、深津チヅ子代表に話を聞いた。

  • お話を聞いた方

    合同会社FUKUFUKU-YA
    代表 深津 チヅ子

  • 深津チヅ子
画像
80代からの女性に贈るファンションブランドFUKUFUKU-YAのホームページ

業種別DXのポイント

  • SEO対策で「売れるホームページ」を確立
  • ビジネスコンテスト最優秀賞を受賞し、資金調達
  • 中小企業振興公社などの公的支援を積極的に活用

はじまりは、文字だけのホームページ

深津氏が初めてホームページを開設したのは、開業届を提出した2020年のこと。当時すでに多くの事業者がホームページを持っており、FUKUFUKU-YAを立ち上げたばかりの深津氏にとっても自社の魅力をアピールするホームページの開設は必要不可欠だった。しかし、ビジネス経験がゼロだった深津氏には、その作り方もわからなければ、誰に頼めばいいのかもわからなかった。そこで仕方なくサブスクリプションのテンプレートを使って自作した。掲載したのは、ブランドの情報、文字だけの商品紹介、無料のイメージ画像の3つだけ。ロゴも商品画像もショッピングカート機能もない急ごしらえのホームページだった。
「もちろん、アクセス数は0、大失敗でした。サブスクの利用料だけが毎月引き落とされる状態が半年ほど続き、これはもうなんとかしなきゃいけないと。アパレルブランドなのだから、とにかくデザインの美しいホームページをつくって集客につなげなければと思い、ホームページの改修を始めました。

女性だけのデザイン会社に依頼

アパレルブランドらしいデザイン性の高いホームページを制作するため、深津氏は中小企業振興公社に保管されていたデザイナーのリストの中から、女性スタッフだけのデザイン会社を選定し、ブランディングを含めて依頼した。ホームページには、ブランドのロゴ、ビジョン、画像付きの商品情報など必要な情報を網羅。さらに、ブランドを紹介する自社のページと、ショッピングカート機能を備えた「BASE」のページを連動させた。商品画像には当時話題だったシニアモデルを起用してクオリティーの高い画像を制作した。その甲斐もあって、ホームページの評判は高く、大手メディアからの取材も相次いだ。しかし、その後は1日の閲覧者数はわずか数人。母の日や敬老の日などは一時的にアクセス数が伸びるものの、それ以外の日は壊滅的だった。

画像

「デザインはとても綺麗に仕上がったのですが、商品の着用画像がたった3枚しかなかったことや、自社のページとBASEのページをつなぐ動線の設定が高齢者であるお客様にはハードルが高すぎたことが原因の一つと思われました。また、ブログ機能をつけていなかったので、後述するSEO対策に寄与したり、お客様とコミュニケーションをとれる場所がありませんでした。このままではまずいと2度目のページの改修を決意したのですが、問題は費用でした」。

専門家との二人三脚で「売れるホームページ」に

揺るぎない信念でビジネスに取り組む人には必然的にチャンスが訪れるのだろう。資金の調達方法に頭を悩ませていた深津氏は、東京都が主催する「東京シニアビジネスコンテスト」でグランプリを獲得する。その賞金とファイナリストに与えられる支援金を合わせた150万円を活用して、ホームページの全面リニューアルに取り掛かる。まず、デザイン会社を変更し、商品の着用画像を大幅に増やした。そして、購入への動線をシンプルにするために自社ホームページと購入ページを一本化。実際に商品を手に取ってみたいというユーザーのジレンマを解消するために「ご試着サービス」と「生地見本サービス」も実装するなど、考えられる施策をすべて盛り込んだ。
さらに深津氏は、中小企業振興公社を介してデジタルマーケティングの専門家とSEO対策*1の専門家のサポートを受ける。特に「売れるホームページ」をつくるためにはSEO対策が不可欠であることを痛感し、1年間専門家の伴走支援のもと検索キーワードを検証した。

その結果、「80代 ブランド」で検索するケースは月に40件程度であるのに対し、アクセス数が、「80代 ファッション」で検索されるケースは月に1000件あることが確認でき、ヘッダーのコピーを「80代からの女性に贈るファッションブランド」に変更した。

画像
画像
施策①とその結果

さらに、これまでのホームページにはなかったブログページを開設し、お客様からいただいた商品に関する感想やエピソードをブログに掲載。ブランドの認知度UPとファン獲得につなげた。こうした取り組みが実を結び、ホームページへの流入数は従前の約2倍に。現在は、約5倍にまで増え、圏外だった検索順位はほぼトップを維持している。

画像
施策②

「洗練されたビジュアルとわかりやすいページ構成、そこにSEO対策の機能を掛け合わせることで、ようやくホームページがホームページとして機能することがわかりました。それまではいわば大草原のど真ん中にお店を作ったようなもの。人の目に触れないから誰にも知られないわけです。それでは何の意味もありません。悪戦苦闘しながらもSEO対策をしっかり行ったことで、ようやくお店を人通りの多い街中に移転することができました。おかげさまでお問い合わせも購入件数も増えました」。

※1 Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略。検索エンジンの検索結果のページ上位にサイトが表示されるための施策

ホームページは会社の信頼につながる

3度目の改修にして、ようやく理想のホームページを完成させた深津氏。しかし、これで終わりではない。シニア世代のお客様の多くが電話で注文をすることが多いため、ホームページに電話マークを設置して、深津氏自ら電話対応できる体制を整えようとしている。「ホームページは作って終わり、ではなく、お客さまに育ててもらうものだと思うんです」と深津氏は語る。
「ホームページは会社の信頼に直結する大事な場所です。だからこそ、ビジョンや事業内容はしっかりと書いておかないといけない。今後は、カタログ販売に注力し、ウェブとリアルのハイブリッドで事業を展開していく予定です。お客さまのニーズや購買動向を注視しながらホームページもさらに充実させていくつもりです」。

画像

中小企業にとって、ホームページの制作こそ最も身近で最も重要なDXの施策なのかもしれない。深津氏にとってDXとは何だろう。
「認知拡大という意味でDXにかなうものはないと思っています。特に弊社の場合は、メインターゲットである80代、90代の方だけではなく、デジタルに親和性の高いそのご家族の方への認知を広げるために絶対に必要な場所です。全国展開をお考えの方やマーケットが限られているという方には、ぜひ取り入れていただけたらと思います」。
ビジネス経験ゼロからスタートした深津氏とFUKUFUKU-YAの挑戦は、まだ始まったばかりだ。これからも、誰もが着やすいおしゃれな洋服を通して、いつまでも綺麗でいたいという女性と、そのご家族に彩り豊かな人生を提供してくれるに違いない。

画像
今後もホームページをさらに充実させていくと語る深津代表

アドバイス

私たちのような規模が小さい会社で本業もやりながらDXを同時に進めていくのは難しいと思います。だからこそ、公的の支援サービスをどんどん活用していただきたいですね。江戸川区には助成金の制度もありますし、専門家を派遣してくれるサービスもあります。ぜひ人を頼っていただいて、ご自身の熱量が感じられる「売れるホームページ」を作ってください。

企業情報
企業名 合同会社 FUKUFUKU-YA
本社 〒107-0052
東京都港区赤坂4-8-19 3F
TEL:03-5050-2747
代表者 深津 チヅ子
設立 2020年2月
URL https://shop.fukufuku-ya.com/

合同会社FUKUFUKU-YA 深津 チヅ子様 登壇
令和6年度 第1回 中小企業DX応援隊セミナー
「企業HPの活用で顧客増加・売上UPを目指そう!」

▼講演動画はこちら!